raingoesup

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あきのしるし

 せめて感性さえもう少しまともでいれたらいいのにと思うが。大人になるとは嫌なものですね。なっていないけれどそう思う。

 

 好きだったあの世界は6年も前だった。そりゃ感性も変わる。それが、こんな死んだように嘘をつき続けるものならなおさら。

 世界に対する希望は、いつのまにか消えていった。他者との隔たりは少しずつ感じながら、益益大きくなっていった。

 やはり、自分が嫌いである。いつかの失ってしまった時間に思いを馳せるならなおさらにそれは取り返せない失敗ばかりが浮かんでくる。嫌いである。醜いのにそれを認められないところとか。

 

 そんな日々にも僕は何かを失っていく。これは、自分ではどうしようもないもの。ただその喪失によってのみ自分が正されるような、冒涜的な思いが頭を掠める。それでよいわけはないのだろうけれど結果的にそうなりそうで、僕は自分が許せない。これを許してしまえば僕は本当に鬼になるのだろう。

 

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 夕方には子供の声。もう蝉も鳴かない。

 秋を秋らしく深く鮮やかに生きていくことができたら、冷たい憂鬱に心を失わずにすむだろう。けれどもその情景を僕は上手く思い描くことができない。