raingoesup

「」

あじさい組

街に馴染まなかった。見ているとつらくなる。

いつのまにかまた、普通になろうとしていたけれども当然なることはなく、時間の無駄だった。狂った人間なりに生きるんじゃなかったのか。いや、ここにきて価値が動いていて、それによって自分の感覚が変わってしまった。普通を知ってしまった。

わけのわからない隣人として、なんとなく付き合っていかなければならなかったものを、価値のわからなかった隣の芝が青く見えるようになってしまって。

本を読む。新しい価値観を入力することが何かしら自分の足しになることは信じて疑わなかったが、なんのことはない、読む気にもならなかった時と同じ疎外感と、なまじっかわかるようになってしまったまでにより一層の断絶を見るだけだった。だけではないけれど。

きちんと消化、などしなくてもいいから、ちょっとでも今から起こる人との関わりや自分の行動の中で、その経験がアンテナになるようなことが起これば、幸せなことだ。